やっと 防衛大にたどりついたわたし。
初めての場所に緊張しながら、彼と会えたものの新たな緊張の種を抱きながら彼に着いていきます・・・。
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防衛大の建物の中を案内される
「あれ?あの白い大きいのがキャンパスじゃないの?」
「うん、あれは偉い人がいるところで・・・俺らはあっち」
彼の指さすほうを見てみると、先ほど目の前に在った白い大きな建物とは少し違う白い建物が4つ連なっていました。
「あの建物が普段暮らしている寮だよ。目の前から1、2、3、4・・・」
「1234?」
「大隊って言って、学生隊4つあって学科とか要員で分けられているよ。」
「へ~奥の大隊は大変そう・・・」
4大隊は敷地のずっと奥にあります。
「課業行進のときは奥からだからね・・・どこに行くにも遠いみたい。ま、逆にお偉いさんの目が届きにくいからちょっと変わってるかなあ」
彼が何とも言えないような顔をして「4大隊」をみていました。
普通の大学でもキャンパスの端の教室や研究室は人気が無いものですが、そんなレベルではなさそうです・・・
「ここだよ」
彼の大隊に入ると、病院のエントランスを思わせる空間がひろがっていました。
「大隊」、彼らの寮は四階建てで左右に広く1つの「大隊」に400~500人は住めそうで、文化祭らしく飾り付けられています。
初めて会う彼のお父さん、お母さん
「来たよ~」
・・・心の準備もなく親御さん・・・。
「は、初めまして・・・とお子と申します。」
「まあ!こんにちは!とお子ちゃん!」
「遠いところありがとう~」
わたしの緊張を吹き飛ばすようににこやかな彼のご両親が彼の部屋で迎えてくれました。
笑顔が彼にそっくりです。
「いつも息子がお世話になって・・・ちゃんとデートとか連れていってる?」
促されて彼と腰かけると(足りない椅子は一瞬で後輩らしき人が持ってきた・・・)彼のお母さまが心配そうにわたしと彼をみつめて尋ねます。
「え・・・」
「あんまり会えないけど、してるよ。・・・たぶん。」
彼が自信なさそうにわたしを見つめます。
「・・・はい!少ない休みも費やしてくれてます。」
彼のお母さまを真っ直ぐ見つめて、わたしは言いました。
嘘ではありません。
お母さまの安心した顔は遠く離れた息子への愛情と、わたしへの真摯な気持ちで満ちていました。
彼のお父様も遠巻きですがわたし達を暖かく見つめてくれているのがわかりました。
「じゃあ、また明日ね~」
彼のお父さまとお母さまが観光のために早めに帰られ
「気を使わせたかな…」
「いや、開校祭は明日が本番だから」
「あ、そうか」
「それより、今日はばたばたさせてごめんね」
彼の部屋に二人きりです。
と言っても机が人数分並べられた非常に整頓された空間で、おしゃれさなんて皆無です。
「ううん、すごくしあわせ」
そう、心からわたしは思いました。部屋の窓から見える夕暮れに染まる防衛大学校のグラウンド。
家族との時間を楽しむ防大生たちの楽し気な声。
いつもはもっと忙しないだろうこの小原台に彼といっしょに居られることが、本当に嬉しく、しあわせだったのです。
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