防大生は夏になると制服の色が真っ白になります。
休みでも気が抜けない防大生
防大では夏休みでも思い付きの遠出はできないと言われていたのですが、神奈川近郊の東京などには遊びに行けるということで、久しぶりに門限を気にせず彼と過ごしていました。
私服姿の彼を見るのも久しぶり!
しかし、ずっと気になる事が…
「ねえ…そのチェーンなに?」
「え?あぁ、…」
と、ちらっと見せてきたのは黒いパスケース
金色の紋章が輝いている。
「これ、身分証。こうやってもっとかなきゃだめなんだよ」
「へえ…なんかちっちゃいときそういうのつけてるお兄さんいたよね」
死滅してしまった、腰パンチェーンじゃらじゃらのお兄さんたちを思い出す。
「えっ!あれとは違うから!義務だから!」
制服を脱いでも、自衛隊なんだな…
やけにきびきびした歩き方が、彼を遠く感じさせた。
防大生彼氏の合宿事情。夏休みでも、休めない?
わたしの大学の夏期休暇に比べれば、かなり短期なものの、3週間ほどある防衛大学校の夏休み。
“彼”と毎日いっしょに居たことがなかったわたしはとてつもなくハッピーでした。
でも、そろそろお盆なので、わたしは家に帰ることに
「三日間くらいで帰ってくるけど、彼は?」
休みはお盆期間が過ぎても続いていると最初に告げられた日程を頭に浮かべながら尋ねた。
「あ~お盆が終わったら合宿だから、戻るよ」
「えっ、合宿?」
中学高校の部活の合宿のような感じだろうか、、
「うん、最低数日間は全部活合宿しないといけないんだ。長いところは数週間とか…」
「夏休みなのに…」
つい愚痴っぽく呟くと
「うん…。おまけにその部活ってのは全学生強制加入だから。」
「えー!全員?!中学校みたい…」
「一部入らなくてもいいやつもいるけど、それは認められる体力があったり、楽な部活といわれる部にはいるとちょっと白い目でみられたり…」
「ヒエラルキーがあるんだね」
「厳しいあの部活にはいれば部隊で先輩方が目をかけてくれて昇進できる!なんてのもある。」
「ええ…ゼミじゃないんだから…」
「みんななんだかんだ体育会系脳だからね…」
なんだかんだというか、がっつり体育会系だよ…
どんどん彼の顔が苦々しくなる。
「うー…防大のこと思い出した…あーまたラッパで起こされるのかー!」
頭を抱えて、俯いた。体が大きいので声をあげると目立ってしまう。
「が、がんばってね…」
もっといっしょにいたいな、なんて気持ちも苦々しい顔を見たら萎んでしまった。
夏も、終わっていく。